NO.4 土地に井戸跡があった場合には?

今回は、極めて重箱の隅をつつくような、それでいて地方圏の郊外では意外と身近な存在である「埋め井戸」を取り上げます。

 

井戸の調査には、上水の供給施設として有効に機能しているかだけではない意味があります。飲用に適さない場合でも、散水や洗浄その他の用途に供されていることもあるからです(ガソリンスタンドなどでも洗車用に地下水が用いられていることがあります)。

人の生活に必要不可欠の水源として神聖視されてきた歴史もあることから、井戸を埋める際には清め祓いの儀式が行われ、埋めた井戸には「息抜きパイプ」として、竹菅や塩ビ管を設置する風習があり、現在に続いています(今ではそこまでの配慮をしないケースも増えたと聞きます)。

たとえば、更地の調査に赴いた際、当該地に砂を盛り上げた箇所があり、塩ビ管が埋め込まれていたとしたら、まずこれは井戸を清め祓いの上、埋設した際に設置した息抜きパイプである公算が高いでしょう。

 

井戸を神聖視して、埋める際にも細心の注意を払うのは、あるいは水源を絶って(または水源を汚損・毀損して)ほかの人の迷惑にならないための生活の知恵だったかもしれませんが、とまれ、それだけ心理的な意味合いを帯びたデリケートな存在であるといえます。

とりわけ埋め井戸の存在や、どのような経緯・手続きで埋めたのかを非常に気にする方もいらっしゃる(霊的なものを感じ取っていらっしゃるのかもしれません)ので、不動産の市場性に影響を及ぼす要因にもなり得ます。

 

土地に井戸がある場合には、その機能や管理状態、現用途を確認すべきことはもちろんですが、井戸を埋めた痕跡がある場合にも注意を要するということですね。所有者を通じて、解体整地を行った業者さんに、埋めた井戸の深さ、埋設方法、清め祓いを行ったかどうかなども聴取しておきたいものです。

 

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