NO.2 飲食店テナントからみた適正家賃は?

飲食店のコスト指標である「FLR比率」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。

FLRはそれぞれ、

F…フードコスト(食材原価)

L…レイバーコスト(人件費)

R…レント(不動産経費≒家賃) を指しており、売上高の70%が目安とされています。

 

業種業態や地域によってそのバランスは変わります(高級店ではFが低く、Lが高い傾向があり、都心部ではRが高くなる傾向がある)が、大分県のマーケットを念頭に置くと、総売上の10%が不動産経費というのは、食材と人件費が高騰した今日的にはやや高いと感じます。

店舗設計にあたっては、店舗フロア面積1坪あたり1人から1.2人の設計をします(厨房等は除く)。これくらいの客単価なら坪当たり何人の設計をすべきか、グレード感を勘案して逆算するわけです。

したがって、出店しようとするエリアにおける「適正客単価がいくらくらいか」を知ることは非常に大事になります。まさに最初に価格ありきです。標準客単価1500円のエリアで3000円相当のサービスを提供しても、正当な評価は得られません。

 

かかる経営指標を不動産鑑定の視点でみると、どういうアプローチが妥当でしょうか。

不動産鑑定評価基準は、新規賃料を求める手法のひとつとして『収益分析法』を掲げています。この手法は「一般の企業経営に基づく総収益を分析して対象不動産が一定期間に生み出すであろうと期待される純収益を求め、これに必要諸経費等を加算して賃料(収益賃料)を求める」ものです。

 

収益分析法は、必ずしも手法として確立されていない面があり、不動産に帰属する純収益を適切に求めることの難易度等からも実務では適用されないケースが多いと感じますが、「FLR比率」は、この手法の適用に当たって、テナント目線に立った重要な視点(たとえば、安定的な負担可能賃料)を提供する指標といえます。

 

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